東洋医学とは

自然と調和し、
人間の本来の治癒力を引き出す医学

東洋医学とは、「自然の摂理に従い、人間が本来持っている治癒力を最大限に引き出す医学」です。単なる治療法ではなく、生き方や哲学とも深く結びついた体系です。その根底には「我と自然は一体である」という思想があり、身体を部分ではなく「全体」として捉えるホリスティックな視点が特徴です。

東洋医学とは

  • 東洋医学のカラダの仕組み

    1. 気・血・津液・精

    東洋医学では、人体を構成する基本要素として以下を挙げます。

    • :生命エネルギー、活動の原動力
    • :血液のように身体を巡る栄養素
    • 津液(水):血以外の体液、潤いを保つ役割
    • :生命の根本、成長や生殖に関わる

    これらがバランスよく循環していることが健康の基本とされています。

    2. 五臓六腑

    五臓(肝・心・脾・肺・腎)と六腑(胆・胃・小腸・大腸・膀胱・三焦)が互いに作用しながら、生命活動を維持しています。

    • :気の流れや自律神経を調整
    • :血を巡らせ、精神活動をコントロール
    • :消化吸収を司り、気血を生み出す
    • :呼吸を調整し、全身に気と水分を巡らせる
    • :生命エネルギーを蓄え、成長や老化に関わる

    これらは単なる臓器ではなく、体と心に影響を与える重要なシステムと考えられています。

    3. 経絡と経穴(ツボ)

    経絡とは、気血が流れる通路であり、全身に張り巡らされています。経絡上にあるポイントが経穴(ツボ)であり、鍼灸やマッサージで刺激することで、身体のバランスを整えることができます。



  • 東洋医学の
    伝統的な鍼灸治療

    ① 「経絡治療」という最高峰の鍼灸

    鍼灸には様々な流派がありますが、その中でも 最高峰とされるのが「経絡治療」 です。
    これは 東洋医学の原理を忠実に守った伝統的な鍼灸 であり、単なる対症療法ではなく 根本から身体を整える治療法 です。

    ② 四診法—本物のカウンセリング技術

    経絡治療では、「四診法」という診察法を用いて、患者の状態を細かく把握します。

    1. 望診(視覚):顔色や舌、姿勢などを観察
    2. 聞診(聴覚・嗅覚):声の質や体臭を確認
    3. 問診(問答):生活習慣や症状の経過を聞く
    4. 切診(触診):脈やお腹の状態を診る

    このカウンセリングを基に、 「脈」や「お腹」の変化を確認しながら施術を行う のが本物の経絡治療です。

    しかし、この治療法を行える鍼灸院は全体の2%未満であり、習得が難しいため、多くの鍼灸師が敬遠しているのが現状です。

  • 東洋医学の治療観と
    西洋医学の違い

    ① 病気の捉え方

    人体を 「家」 に例えて考えると分かりやすくなります。


    東洋医学(根本療法)

    西洋医学(対症療法)

    病気のイメージ

    「家に火事が起きる前に、防火対策をする」

    「家が燃えたら、水をかけて火を消す」

    目的

    未病治(病気になる前に治す)

    症状を抑えることが目的

    治療のアプローチ

    気・血・水の流れを整え、自然治癒力を高める

    投薬や手術で直接治療

    持続性

    治癒力を高めるので、健康が長続きする

    一時的に症状を抑えることが多い

    つまり、東洋医学は「病気を根本から治す」ことを目指す医学なのです。

  • 東洋医学の
    未来—統合医療への可能性

    近年、西洋医学と東洋医学を組み合わせた 「統合医療」 が注目されています。

    • 西洋医学の科学的・分析的アプローチ
    • 東洋医学のホリスティックな視点

    これらを組み合わせることで、 「病気を治す」だけでなく、「健康を維持する」医学 が可能になります。

    また、東洋医学の本質は 単なる治療法ではなく、「自然と調和した生き方」そのもの です。

    • 食養生
    • 季節ごとのケア

    ••呼吸法や気功
    これらを実践することでより健やかに、より本来の自分らしく生きることができます。

  • 東洋医学の現代的な役割



    現代社会では、ストレスや生活習慣の乱れによる慢性疾患が増えています。西洋医学は急性疾患や外科的治療に優れていますが、慢性疾患や原因不明の不調に対しては対症療法が中心となりがちです。ここで東洋医学の役割が重要になってきます。

    東洋医学は、以下の点で現代社会において大きな役割を果たします。


    1. 未病のケア(病気になる前の段階で予防する)

      • 東洋医学では、病気が発症する前の「未病」の状態を重視し、身体の不調のサインを早期に察知します。
      • 養生法(生活習慣の改善)、適切な食養生、季節ごとのケアを通じて、病気の発症を防ぎます。
      • 鍼灸や漢方を用いて、気血水のバランスを整え、病気になりにくい体質へと導きます。

    2. 自然治癒力の向上

      • 人間の体には本来自然に治ろうとする力が備わっていますが、ストレスや環境要因によってその力が低下することがあります。
      • 鍼灸治療によって経絡(気の流れ)を整え、免疫力を高めることで、自然治癒力を引き出します。
      • 東洋医学的な考えに基づいた養生(睡眠、食事、運動、呼吸法など)を取り入れることで、自己回復力を強化します。

    3. 体と心のバランス調整

      • 東洋医学では「心身一如(しんしんいちにょ)」の考え方があり、心と体は切り離せないものとされています。
      • ストレスによる自律神経の乱れは、頭痛、肩こり、消化不良、不眠などの症状を引き起こします。
      • 鍼灸治療や気功、瞑想などを取り入れることで、自律神経のバランスを整え、心身ともに調和の取れた状態を目指します。
      • 東洋医学は、単に症状を抑えるのではなく、心と体の調和を取り戻すことで、根本的な健康の回復を目指します。

    このように、東洋医学は現代のストレス社会において、単なる治療法にとどまらず、予防医学や自己治癒力の向上、心身の調整といった幅広い分野で重要な役割を果たしています。



  • 東洋医学では、病気の根本原因を探り、体質や症状に応じた個別の治療を行います。主な治療法には以下のものがあります。

    1. 鍼灸(物理療法):経穴を刺激し、気血の流れを改善
    2. 漢方薬(薬物療法):生薬を用いて体内バランスを調整
    3. 推拿(すいな)・按摩(手技療法):筋肉のこわばりをほぐし、気血を巡らせる
    4. 気功・導引(運動療法):呼吸法や体操で気の流れを整える
    5. 薬膳(食事療法):体質に合った食事で健康を維持

    また、現代では、西洋医学と組み合わせた統合医療の一環として、東洋医学が活用されることも増えています。

  • ① 自然との調和

    東洋医学は「人間は自然の一部である」という考えを基に成り立っています。季節の変化、気候、食べ物の影響など、環境と人体の関係を重視し、自然の流れに沿った養生を大切にします。


    ②病の根本原因を見極める

    西洋医学は専門の科ごとにバラバラに「病気そのもの」 へアプローチするのに対し、東洋医学は 「なぜ病気になったのか」 を重視します。そのため、同じ症状であっても人によって治療法が異なります(個別性)。

    例えば、頭痛の治療でも「血の巡りが悪いからか」「気の滞りがあるからか」「冷えが原因か」など、原因を特定し、それに応じた施術を行います。

    ③未病治(病気になる前に治す)

    東洋医学の重要な概念に 「未病を治す(ちす)」 があります。

    • 病気が発症する前に、身体の微細な変調を察知し、予防する。
    • そのため、東洋医学は 健康維持・体質改善にも効果的 です。

    ④自己治癒力の向上

    東洋医学の目的は 「本来の状態に戻す」 ことです。

    • 外部から無理に症状を抑え込むのではなく、 身体が自ら治る力(自己治癒力) を引き出します。

    ••そのため、西洋医学では治らない慢性的な不調や原因不明の症状にも効果が期待できます。